クリスマスが終わってまもない日に、タカハシさんという方からご相談がありました。
「ダンディケーキというケーキを焼いてみたんですけれど、それが・・・」
ダンディケーキといえば、イギリスの焼き菓子。
赤いパッケージが有名な、輸入食材を扱うスポットや、物によってはコンビニなどでも見かけることのできるメーカーさんのもので、本当に大分前に一度、食べたことがあるダンディーケーキは、レーズンやピールなどがぎっしり入った洋酒使いのフルーツケーキという印象がありました。
でも、作ったことはありませんでした。
「こん、と音がするくらい、固くなってしまったんです」
「どうしてでしょう」
ダンディーケーキというケーキを調べてみると、マーマレードを織り込み、レーズンやかんきつのピールと洋酒の香りづけをして、アーモンドを上に置いて焼くフルーツケーキのような焼き菓子を指すようでした。
クリスマスのころのケーキとしても作られるようでした。
生地にマーマレードを使い、ガルニ(具)が多くなるケーキは、火の通りが悪くなります。じっくり焼かなければならない分、固くなる可能性があります。
「ベーキングパウダーは入りますか?」
「入れました」
「どれぐらい、焼きましたか?」
「50分くらいです」
「どんな感じになったか、実物をみてみたいです」
翌日、タカハシさんがタッパーに入ったダンディーケーキを持っていらっしゃいました。
食べてみると、日にちがたってしっとりした分、そんなに固い印象はなかったのですが・・・
「あの・・・これ、バターでお作りになりましたか? なんとなく、植物性の油脂というか、なにか違う香料のようなものも感じるのですが」
「はい。バターですが・・・あっ、でも、ラムレーズンのかわりに、チョコがけのレーズンを入れたからかもしれません」
そんなタカハシさんのご相談から、ダンディケーキを作ってみたいという気持ちがふくらんできました。
さまざまなレシピを検索して、さまざまな配合で試作がはじまりました。